魔球の正体
龍太郎, 姫野
ベースボールマガジン社
2001-10T



手塚理論の一つの目玉である。
僕も1996年に この「アメフトのボールやライフルの弾丸のように渦を巻いて回転する」球の可能性に関する言及に魅せられ、「球速以上に手元で伸び、なんならホップしてるように見える。」この謎の魔球を追い求めてしまったものだ。
何しろこの時は、(手塚さんは可能性を言及しただけだったが)当時無双していた野茂英雄さんをはじめ、キレのいい快速球を投げる投手は皆ジャイロボーラーだ、と思い込んでいた面もある。
一旦はバックスピン系のボールはことごとく打者の手前で失速し、球速の割には打たれてしまうなんてマイナスイメージを持ってしまったくらいだ(すぐ極端に走ってしまうのは、あるいは今に至るもあるぼくの悪い癖である、)
まぁ、西暦2000年を 過ぎる頃には、バックスピンでも凄い威力があるならいいか。位の認識には新たまっていたが、その頃に上段の、「魔球の正体」が刊行され、反面でジャイロボールへの思いは深まって言った。
その頃はカメラや電子機器で回転軸の解析は今ほど高度では無かったとは言え、少なくとも松坂大輔さんの全盛爆速ストレートは高回転バックスピンであることははっきりしていたのだが。
 
とりあえず、ジャイロにも2種類あるということが、僕たち手塚チルドレン?には知らしめられる。
一つは前述の強力なファストボールとしての4シームジャイロ。
もう一つはブレーキング効果の高さで打者を惑わす2シームジャイロ。
(例えば松坂型スライダーはこの変異型の可能性が高いとほのめかされたりもした。NHKの特集では、はっきりジャイロ回転と言う言葉が出てきている。のちの渡米時の松坂ジャイロボーラー騒動はその辺に関係しているのだろうか?) 
当時の2ちゃんねるでも所謂「信者VSアンチ」の2元論で激論が戦わされたし、野球動作解析系の私設サイトの体感7割が、手塚さんの運動原理の焼き直し、なんて一種過熱状態にもなった。 
その一方で、アンチとは言わないが冷静客観的に、「ジャイロ云々はただのスライダー。」「腕はただ真っ直ぐ伸ばす意識で。」と言った論客氏のサイトも現れるようになった。(この方はまだサイト作って頑張っておられる筈だ。)


で、僕自身のプレイヤーとしての力はというと、個人史にもあるように突出したものを示せぬまま、未練を残して30歳手前で社会人として忙殺される日々となる。
で、時期的にほぼ並行して、純正バックスピン豪速球の申し子、藤川球児投手が一気にブレイクし、本家の手塚さんの運動原理解説、著書等も、加速動作全般に通じる、骨盤中心に全身を連動させていく概念の普及にシフトしていったように映った。

さて、では、4シームファストボールとしてのジャイロボールは机上の空論なのだろうか?

現実に100マイル近い球を連発して、未だメジャーで無双しているキンブレル投手の球道を見てみよう。



 



…明らかにスリークォーターか、やや低いロークォーターの腕の振りから、「ライジングファストボール」と言っても良いくらいのえげつない軌道、威力。
もっと数字的には速い投手はいるが、それ以上に無理ゲー感がある。
この軌道、バックスピンでないことは確か。
シュート系とも違う。

一番可能性高いのは、手塚さんの言われる、「回転軸がやや右側に寄り、バックスピン要素のある4シームジャイロでは?」と最近思い始めている訳である。

一つの僕の可能性として考えています。
その一方で藤川型超バックスピン系も追求していますが笑

いずれにせよ僕自身に関しては、明日かそこらに納入される解析動画待ちですね。